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2. 見積りが明確 〜見積りも企画の一部。プロジェクトを反映してこそ。〜



---見積りの根拠が明確なのは、いい制作会社の条件---


菅: ボクは営業中心だから他社の見積りを見る機会も多いんですけど、不明瞭なものが少なくないんですよ。

う: よくあるのが「一式いくら」というやつね。

滝: それじゃ何の根拠もない……

菅: うちの場合は、作業の項目を4つぐらいに分けてる。
ボクのようなディレクションの時間単価7,000円でトータル5時間とか、デザイナーが単価1万2,000円で20時間、とか。何をどれくらいやっていくらになるっていう内訳や根拠が明確っていうのが、いい制作会社の条件のひとつだと思ってる。

滝: ウチは必ず見積りの中に「ディレクション・企画代」を入れてますね。企業から見たら、そこがいちばん面倒見て欲しいところだから。
ディレクションと企画の項目が入ってない業者の見積りには「え、企画してくれないの? 」って突っ込みを入れてもいいと思う。

菅: それらが見積りにあるかないかは見分けるポイントになるね。値段の高い安いだけで選ぶと結局は損をする。

う: ウチも企画とデザインが最重視だな。社名からして「コンテンツ屋」だし(笑)。
見積りでは作ったデータごとの単価じゃなくて、工程ごとの単価にしてる。
ページ単価も書くけど、一番大事なのは企画とデザインでしょ?。そこに一番負荷がかかる。当然、見積り単価も大きくなる。

滝: 確かにページ単価でいくらっていうのは避けたいね。ページが少ないより多い方がかかるのは当然だけど、基本的な企画やデザイン部分はページ数では割り切れるわけじゃないしね。例えば100万円のホームページだとして、ページ数が半分になったからって50万円にはならない。

菅: そうやって考えると、見積りも企画書の一部ってことだよね。仕事内容をしっかり金額で明示するっていう。

滝: ウチも便宜上、ページ数は見積りに出すけど、クライアントには必ず説明しますね。ほんとはページじゃない、新しい概念の単位が欲しいくらい。例えば1ウェブとか(笑)。

う: 「なぜその値段になるかというと、そこに80魂が入ってますから」とか(笑)。


---見積りに仕事内容が見えるかどうか---


菅: ボクの見積りはページ制作の料金割合が全体から見ると少ないんだ。企画とかサイトデザイン料の比重が大きくなるようにしている。ページが多少増えたから減ったからで、基本料が大きく動いてしまっては企画できなくなっちゃうからね。

滝: 「この内容全部で1Pにしちゃってよ」っていう人とか、平気でいますからね。

う: 「1ページにまとめてくれりゃいいよ、1,000行でもかまわないから」なんて言われちゃったらお話にならないわけだよね。本来100画面が必要なものだったら、1画面にまとめたとしても100画面分の仕事をしてるんだから。

滝: 1画面分の料金で100画面やろうとするから、見づらくて誰も見ないようなホームページができちゃう(笑)。そういう仕事では、クライアントにとってもユーザーにとってもいいことないですね。

菅: 今後、中小企業が制作会社の見積りを取るときには「仕事内容が見えるかどうか」をチェックするといいってコトですね。

う: あと、ウチはね、企画料のところに「研究費」って入れてる時がある。

滝: は? 研究費!?

う: 毎回じゃないんだけどね。知らない業種の仕事をするにあたって、その業界について、ちゃんと調べてからじゃないと取り組めないから。あと、勉強するための資料本買ったりするでしょ。研究費、勉強費ってものはどうしてもかかるよ。

菅: そうか、研究費って捉え方はいいなー。「パンフにこう書いてあったからそのまま書いとくよ」じゃ、文章も人のコトバの丸パクリになっちゃうもんね。

う: 咀嚼してないとオレの言葉にならないし、消化されない。そのままで作っちゃうのはどう考えてもおかしいから、当然研究するでしょ?。だったら研究費は必要だよね。

滝: なるほどねー。「研究費」はボクも使おうかな(笑)。

菅: 実際、研究費が生じてるんだから、見積りにも反映されていてしかるべき、と。


---理念も体現してこそ、見積り---


う: 何をやったか、やらなきゃいけないか、見えない見積りはダメだからね。
研究もしない、勉強もしないで制作する人間に、自分の会社の大事なホームページをまかせていいのか?って話だよ。

菅: どんな能力が必要かもそうだね。建物と一緒で、瓦屋さん、基礎屋さん、電気屋さんなど、色々な職人さんが出入りしてる。それぞれの工程の値段を明示することで、それを分からせるってことですね。

う: 大体クライアントに「研究費も企画料も出したくないよ」ってゴネられたら、制作会社はその工程をスッとばしちゃっていいのか、と。
必要なパーツを取っ払えば欠陥商品になってしまう。そんないい加減な仕事はできないでしょ。

滝: 「安くしてくれよ」って言われても、ボクらは危険な家は建てられないですからね。

う: ある意味、オレたちは専門家として企業のネット上の医者みたいなポジション。患者が嫌がるから薬飲まなくてもいいとか、禁煙したくないならどんどん吸ってくださいとかって、良心的な医者は言わないもんだよ。

菅: そういう自分たちの理念を体現してこそ、ちゃんとした見積りってコトですね。
クライアントにもその辺を理解をした上で、一定の基準を持ち、業者の見積りを判断してほしいですね。



■注釈コラム
★(見積りに)仕事内容が見えるかどうか
ボクは対談中でも皆が触れているように「見積りとは単なる値段の羅列ではない」と考えている。「何にいくらかかるか」を明示するのは当然だが、むしろ「何が必要なのか」を明示すべきだと思う。
値段だけの表示なら安いほうがいいに決まっている。だが「必要なもの」であるならば、単に安くするだけの理由で削ったり叩いたりできないはずだ。安全な家にするために、これだけのボルトと釘が必要だと言われれば、危険でもいいから削れとは言わないものだ。
見積りはそうであってほしい。だからこそ、見積り作成者には、その根拠を示せるだけの知識も見識も必要になる。なぜ必要なのか。もしも削ってしまったらどうなってしまうのか?。クライアントの貴重な予算を、どう有効に使うのか、示さなければいけないのだ。一式いくら、なんていう見積りでは仕事ぶりを示せない。
[追記]
数字が合わないのを承知で、それでも引き受けたい仕事というのも、稀にある。ボクの場合、以前お世話になった方の依頼とか、応援して押し上げてみたい魅力的な事業などがそうだ。情でサービスすることもあるし、投資的な視点から請求を抑えることもある。
そういう場合、ボクは本来の見積りを作成し明示した上で、値引きするようにしている。「10個を5個ってコトにしとこう」なんてコトはしない。見積りに書き込む金額は、クリエイターの誇りであり覚悟でもあるから、作業内容や工程は値引けないからだ。そうでないと安易な見積りに加担してしまい、業界の発展を阻害するかもしれない。見積りにはクリエイターの魂が宿っている。(URUNO)



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